『ブログのコメント認証にOpenIDが使える』ことは本当に便利なのか

ずっと言われ続けている気がするこんなOpenIDステロタイプな利用例ですけど、
実際のところは大きなブログサービスでほぼ利用されてない*1という件についてです。


掲題の括弧内がもし本当に便利だったのならOpenID Providerが出揃ったような雰囲気が醸し出された昨年末あたりで各社ブログサービスが対応しているのだと思うのだけど、少なくともOpenIDという技術に明るいユーザが多いだろうはてなダイアリーは対応しても良さそうなのだけど、現状そうなっていない。これに対応しているのはGoogleBloggerMovable Typeがあるけれど、このユーザ層は日本のブログ人口の比率でいくと大変に少ない。てことは、一見便利そうなこの仮定は僕らにとっては実は微妙なアレなんだろうなということで、誰にとって便利なのか?なぜ便利なのか?デメリットは?あたりを整理して、問題の本質は何なのかとどうすれば便利になるのかを考えたいのです。

■便利そうな理由

ブログコメント、にまつわる登場人物は

  • ブログ主
  • ブログサービス提供者(個人運営なら=ブログ主)
  • コメントする人
  • 記事を読んでる人

です。


ブログ主には匿名で誰彼構わずコメントされるのは嫌だけど、身元がある程度わかるような人ならオッケーという微妙な乙女心を持つ方は割といて、ソリューションとしては同じブログサービスのIDを持った人のコメントを受け付けるという仕組みをブログサービス側が提供しています。そんなブログ主の記事をたまたま読んでいた人が何らかコメントしたくなった時にブログ主が利用しているサービスのIDを持っていないがためにコメントすることができなく、コメントするためだけに新規ID取得をするなんてことは面倒なので結構な確率で機会損失が起こってしまいますが、コメント認証にOpenIDがサポートされていれば自分が持っている他のサービスプロバイダのIDでログイン後にコメントが書けるので便利だな、というのが直観的にあります。
直接的にはブログ主、コメント者双方にとって有意義なシステムですが、有益なエントリに対して貴重なコメント、しかもコメント者の「本来の身元(はてな村の○○がXXXのブログにコメントを付けたんだよ、という意味でのトレーサビリティがプラスされる)」が付くことで他に読んでる人にとっても魅力あるコンテンツにもなりえますし、ユーザのブログが盛り上がっている状況はサービス事業者側にとっても好ましいことのはずです。

■便利でない理由

これだけ聞くと良さそうな気がしますが、今日のお題はダメな理由について考えることでした。

  • 新規IDの機会損失

これは上の例の反対として起こることですが、サービス提供側にとってはOpenIDの導入が新規ID取得率の低下になるかもしれない、と考える人がいるかもしれません。ただ上記の通りOpenIDの導入は事業者側にとってもプラスとなる点もあるとは思いますが。

  • 携帯でコメントがつけられない

OpenIDは携帯からは利用できません*2。例えばアメブロなどは携帯でのみブログをやっているユーザが大半ですってのはまあいいのですが、じゃあPCからはOpenID認証も受けつけて携帯からはサービス事業者のIDでのみ受け付ける、というシステム方式じゃなんだか煩雑な印象を受けてそこまでして対応する意味あるの?という気持ちにさせてくれますし、OpenIDなんてよく知らないブログ主も混乱させてしまう原因になりそうです。


とかない頭を絞って考えていたのですが、結局のところはこうですかね。ぶっちゃけ。

  • 「他の誰でもない私」がコメントしたことを他者に知らせたいなんて人はまず、いないから

つまり「便利そうな理由」で上げた理由を便利だと感じてくれる人の割合が絶対的に少ない、というのが本質なような。

■問題の本質は

ここからは視点が定まっていないですが。
「他の誰でもない私」がコメントしたことをわりかし大きな(例えば継続的にはてブされるような)ブログのコメント欄で他者に知らせたいなんて人は「ほどほど」にしかいない。そんなのはマニアックで、ネット利用ユーザのピラミッドの頂点に君臨するギークのような方々が住む世界で、それは10年たってもアメブロユーザには伝わらない話ではないのか。
例えばこれをたまたま読んでくださったあなたを、今特別にブログは書いて無くてはてなについてはよくわからずidは持ってない、Mixiのアカウントは持っている、あと最近はじめたTwitterで有名人のフォローはしている、ようなペルソナに仮定します。そんなあなたがこのエントリにOpenID認証で(実際にははてなダイアリーOpenID認証をもっていないけど、あくまで仮定)ブログにコメントつけるだろうか。その時あなたはTwitterMixiのIDで (TwitterはOPではないけれど)ログインして、あなたであることをブログ主に伝えたいでしょうか。という問題だと思うのです。*3


つまり利用者の感情とか、ノリとか、そういうところが問題の本質なんだと思ってます。


ただミクシィアメブロを見てみると、普通のネットユーザレベルでも十分に馴れ合いは発生しています。彼らは物凄い勢いでコメントをしあってます。じゃああれは何だ?という話になるとクローズドな世界だということだと思います。
ちなみにはてな村の人は、そのクローズドが村レベルにまでは拡張されている人達だと思ってて、OpenIDはさらにその意識をゆるくソーシャルに、ウェブのさらに広い範囲まで村を拡張することができるアーキテクチャになる可能性がある気がしているので、こんな話を書いているのですね。
今のウェブの「トレンド*4」は、「オープン」とか「ソーシャル」を志向していますしね(苦笑)。

■どうあって欲しいのか

散々アメブロアメブロ言ってて悪気がある訳ではないのですが、このまま行きます。
そのアメブロユーザにとってもOpenIDのことを知っているとかどうかはおいておいて、似たような趣味嗜好の持ち主同士がネット上のアメブロの外にいた場合に、その人とアメンバーと馴れ合いするのと同じ感覚で馴れ合いができれば、嬉しいのではないのでしょうか。
どこのサービスを利用している、とかはあまり関係なく、いかにフレキシブルにユーザ同士がふれ合えるかどうかじゃないの?という意味で、ひいてはウェブの世界を広い意味での「セカンド・ライフ」として利用できるような世界にするためのアーキテクチャの一つとして、僕はOpenIDはイケるのではないかと思ってるのですが。うぬ。抽象的すぎますね。


今回「ブログのコメント」という狭い視点から始めましたが、そういった実現の一歩として各ブログサービスはにOpenID認証をはじめて欲しいし、OpenID Provider側は皆SREG対応はして欲しい(個人的には要求されたらMUSTで答えなければいけない、という制約があって欲しい)という風に思います。

■まとめ

はてなさん、よろしくお願いします。

    • -

*1:livedoor Blogが「mixi OpenID」対応しているけど、プロバイダ限定のOpenIDはここではあえて無視

*2:今のところ

*3:正確な話をするとOpenID2.0の拡張仕様を利用しない認証をするだけであればあなたがTwitterの誰、とかMixiの誰とかまでわかりえる訳ではないのですが(認証されたURLがあなただ、といえれば別ですが)、「便利」の項であげた「トレーサビリティ」を活用することを考えた場合、少なくともSREGでのニックネームの流通は必須でしょう

*4:土曜日にdankogaiセミナーを聴いた時にトレンドを追っかけるのだけはやめよう、という話をしていてそれはその通りだと思ってて、苦笑